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艸句会報:すみだ(令和3年7月28日)

すみだ句会(すみだ産業会館)
兼題「炎暑、炎天」

高点3句
満天の星を見てゐるハンモック    山本  潔
炎天へ跳びスケボーの宙返り     岡崎由美子
照り返す大暑の寺の鬼瓦       内藤和香子

百年ものの祖母の紬や風入れる    福岡 弘子
滴りや誰が名付けしか「延命水」   髙橋 郁子
睡蓮を揺らす暗がり何か棲む     内藤和香子
夏雲に轟くブルーインパルス     山本  潔
父の忌の墓石よ灼けるだけ灼けて   岡崎由美子
鯔飛んでとんで汐入る小名木川    貝塚 光子
五線譜を誘ふ風や麦の秋       大浦 弘子
アイゼンの音並びゆく大雪渓     桑原さかえ
風死して鉄路の匂立ちにけり     岡戸 林風
竹箸の節の味はい夏料理       長澤 充子
よひどれの時代懐かしなめくぢり   松本ゆうき
炎天や影だけ連れて戻りける     工藤 綾子

(清記順)

【一口鑑賞】炎天へ跳びスケボーの宙返り」由美子さんの句。コロナ禍第4波が広がるなか、1年遅れの東京オリンピックが無観客で行われている。スケートボードは五輪の新競技。前後に車輪がついた細長い板に乗って公園にあるような手すりや壁を伝い、技を競う。この句は早速、新しいスポーツを詠んだ意欲作。兼題も踏まえて躍動感のある一句に仕上げた。「アイゼンの音並びゆく大雪渓」さかえさんの句。「アイゼン」は登山靴に取り付ける金具で、雪や氷に覆われた斜面を登降する際の滑り止め。掲句は夏の北アルプスの白馬岳あたりに登った際の思い出だろうか。雪渓を縦列に登る人たちの足取りを「アイゼンの音」に集約させた。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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