艸句会報:船橋(令和3年7月31日)
船橋句会(船橋市勤労市民センター)
兼題「辛」
高点2句
辛抱とみんみん蟬に諭さるる 市原 久義
サイダーのシュワシュワ君の変声期 針谷 栄子
駄菓子屋の葭簀の中の賑はいよ 川原 美春
つくばひに病葉一葉沈みをり 沢渡 梢
涼しさやビルに明かりの点るとき 小杉 邦男
狛犬の阿吽をさらひ蟬時雨 中川 照子
すれ違ふ胴長の犬百日紅 山本 吉徳
猛暑日の激辛カレーなら許す 山本 潔
雷鳥の一家寄り来る八合目 矢島 捷幸
人の世に甘さ辛さやソーダ水 岡戸 林風
田舎から夏野菜みなひよつとこ 三宅のり子
何気ない言葉にゆれてをみなへし 並木 幸子
涼しさや敗者勝者の深き礼 針谷 栄子
炎熱のコートを弾む黄のボール 市原 久義
(清記順)
【一口鑑賞】「辛抱とみんみん蟬に諭さるる」久義さんの句。この夏もコロナ禍は収束しておらず、むしろ第5波が拡大中だ。「辛抱しなさいよ」とみんみん蟬に諭されたのは国民全体だろう。この句は、土の中で長い年月を過ごし、やっと成虫になって地上に出てきた蟬の視点で現在の社会を捉えている。みんみんの抑揚のある鳴き声が妙に心に響いてくる。兼題「辛」の文字をさらりと詠み込んで諧謔の句に仕上がった。「田舎から夏野菜みなひよつとこ」のり子さんの句。実家から届いた夏野菜だろうか。ダンボール箱を開けるとキュウリやナス、トマトなどが新聞紙に包まれてごっそり入っている。どれも規格外で形は良くないが、いかにも新鮮で美味しそうだ。そんな野菜の様子を「ひよつとこ」と言いとめたところにユーモアと詩心が感じられる。(潔)
兼題「辛」
高点2句
辛抱とみんみん蟬に諭さるる 市原 久義
サイダーのシュワシュワ君の変声期 針谷 栄子
駄菓子屋の葭簀の中の賑はいよ 川原 美春
つくばひに病葉一葉沈みをり 沢渡 梢
涼しさやビルに明かりの点るとき 小杉 邦男
狛犬の阿吽をさらひ蟬時雨 中川 照子
すれ違ふ胴長の犬百日紅 山本 吉徳
猛暑日の激辛カレーなら許す 山本 潔
雷鳥の一家寄り来る八合目 矢島 捷幸
人の世に甘さ辛さやソーダ水 岡戸 林風
田舎から夏野菜みなひよつとこ 三宅のり子
何気ない言葉にゆれてをみなへし 並木 幸子
涼しさや敗者勝者の深き礼 針谷 栄子
炎熱のコートを弾む黄のボール 市原 久義
(清記順)
【一口鑑賞】「辛抱とみんみん蟬に諭さるる」久義さんの句。この夏もコロナ禍は収束しておらず、むしろ第5波が拡大中だ。「辛抱しなさいよ」とみんみん蟬に諭されたのは国民全体だろう。この句は、土の中で長い年月を過ごし、やっと成虫になって地上に出てきた蟬の視点で現在の社会を捉えている。みんみんの抑揚のある鳴き声が妙に心に響いてくる。兼題「辛」の文字をさらりと詠み込んで諧謔の句に仕上がった。「田舎から夏野菜みなひよつとこ」のり子さんの句。実家から届いた夏野菜だろうか。ダンボール箱を開けるとキュウリやナス、トマトなどが新聞紙に包まれてごっそり入っている。どれも規格外で形は良くないが、いかにも新鮮で美味しそうだ。そんな野菜の様子を「ひよつとこ」と言いとめたところにユーモアと詩心が感じられる。(潔)
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