艸句会報:若草(令和3年8月7日)
若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「紀」
高点2句
皿替へていつものメニュー今朝の秋 針谷 栄子
泡ひとつ吐いて金魚の夢ごこち 飯田 誠子
新酒酌むあては紀文の焼きちくわ 山本 潔
寄添ふといふ優しさや甘野老(あまどころ) 岡戸 林風
養生の身を委ねたる籐寝椅子 安住 正子
新秋や少女の頃の愛読書 沢渡 梢
原爆忌青き地球を壊すまじ 飯田 誠子
ときをりは散りたきこころ水中花 坪井 信子
大往生と思へば蟬は死んだふり 松本ゆうき
白樺の風惜しみなく避暑の宿 新井 洋子
油照り水かけられて遊ぶ犬 石田 政江
原爆忌赦されぬこと赦すこと 市原 久義
コロナ禍の教育論よ夏の月 吉﨑 陽子
秋茄子を焼いて信濃の刺身とも 新井 紀夫
「どこでもドア」あればジュラ紀へ夏休 針谷 栄子
(清記順)
【一口鑑賞】「皿替へていつものメニュー今朝の秋」栄子さんの句。句会の日はちょうど立秋。連日の猛暑でまだ実感はないが、秋の気配をいち早く感じて詠むことが俳句の醍醐味でもある。いつもと同じ朝食を作りながら、お皿を替えるところが繊細な作者らしい。朝の食卓にあたる光や食器の音、サラダの色合いなどに忍び寄る秋を感じたのである。「泡ひとつ吐いて金魚の夢ごこち」誠子さんの句。一読して泡を吐いた金魚の様子が目に浮かぶ。続いて金魚の眠そうな目玉が見えてくる。「金魚の夢ごこち」と言っているが、「夢ごこち」なのは作者自身なのだろう。読み手もなんだかほのぼのとした気分になってくる一句。(潔)
兼題「紀」
高点2句
皿替へていつものメニュー今朝の秋 針谷 栄子
泡ひとつ吐いて金魚の夢ごこち 飯田 誠子
新酒酌むあては紀文の焼きちくわ 山本 潔
寄添ふといふ優しさや甘野老(あまどころ) 岡戸 林風
養生の身を委ねたる籐寝椅子 安住 正子
新秋や少女の頃の愛読書 沢渡 梢
原爆忌青き地球を壊すまじ 飯田 誠子
ときをりは散りたきこころ水中花 坪井 信子
大往生と思へば蟬は死んだふり 松本ゆうき
白樺の風惜しみなく避暑の宿 新井 洋子
油照り水かけられて遊ぶ犬 石田 政江
原爆忌赦されぬこと赦すこと 市原 久義
コロナ禍の教育論よ夏の月 吉﨑 陽子
秋茄子を焼いて信濃の刺身とも 新井 紀夫
「どこでもドア」あればジュラ紀へ夏休 針谷 栄子
(清記順)
【一口鑑賞】「皿替へていつものメニュー今朝の秋」栄子さんの句。句会の日はちょうど立秋。連日の猛暑でまだ実感はないが、秋の気配をいち早く感じて詠むことが俳句の醍醐味でもある。いつもと同じ朝食を作りながら、お皿を替えるところが繊細な作者らしい。朝の食卓にあたる光や食器の音、サラダの色合いなどに忍び寄る秋を感じたのである。「泡ひとつ吐いて金魚の夢ごこち」誠子さんの句。一読して泡を吐いた金魚の様子が目に浮かぶ。続いて金魚の眠そうな目玉が見えてくる。「金魚の夢ごこち」と言っているが、「夢ごこち」なのは作者自身なのだろう。読み手もなんだかほのぼのとした気分になってくる一句。(潔)
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