艸句会報:若草(令和3年9月11日)
若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「洋」
高点1句
間引菜の青より朝の始まりぬ 安住 正子
たをやかにありのまま生く秋うらら 沢渡 梢
師の好きな萩は一花を畑の垣 石田 政江
読み上げ算漏れくる塾や虫の夜 新井 紀夫
晩年はいつ始まるのきりぎりす 松本ゆうき
穂芒の解けて風筋変りたる 安住 正子
筑波嶺の男体女体月涼し 新井 洋子
梨噛めば嚼めば咬むほど水の音 山本 潔
痩身の秋刀魚へよくぞ此処までと 隣安
一回り園のふくらむ虫時雨 飯田 誠子
洋酒瓶一輪挿しとなる晩夏 吉﨑 陽子
猫バスの片道きつぷ花野駅 針谷 栄子
かなかなの強き響きに励まさる 岡戸 林風
パラリンピック
日本の秋風を背にゴールイン 坪井 信子
未知なるを恐れもせずに飛蝗跳ぶ 市原 久義
(清記順)
【一口鑑賞】「間引菜の青より朝の始まりぬ」正子さんの句。大根、蕪、小松菜などの菜類は多めに種を蒔き、苗が密生してきたら間引く。これが「間引菜」で秋の季語。味噌汁に入れたり、お浸しにしたりすると柔くて美味しい。この句は朝ごはんの準備をしながら、若々しい菜類の青さを目にする作者の姿が浮かんでくる。丈夫で台所に立てる幸せを噛み締めているのだろう。「痩身の秋刀魚へよくぞ此処までと」隣安さんの句。秋刀魚は秋の味覚の代表格だが、一昨年から深刻な不漁が続いている。海流の変化が原因とされ、今年も苦戦しているようだ。この句は、食卓に上った「痩身の秋刀魚」を目の前に思わずつぶやいた言葉なのだろう。食物への感謝を決して忘れない作者の人柄が表れた一句。(潔)
兼題「洋」
高点1句
間引菜の青より朝の始まりぬ 安住 正子
たをやかにありのまま生く秋うらら 沢渡 梢
師の好きな萩は一花を畑の垣 石田 政江
読み上げ算漏れくる塾や虫の夜 新井 紀夫
晩年はいつ始まるのきりぎりす 松本ゆうき
穂芒の解けて風筋変りたる 安住 正子
筑波嶺の男体女体月涼し 新井 洋子
梨噛めば嚼めば咬むほど水の音 山本 潔
痩身の秋刀魚へよくぞ此処までと 隣安
一回り園のふくらむ虫時雨 飯田 誠子
洋酒瓶一輪挿しとなる晩夏 吉﨑 陽子
猫バスの片道きつぷ花野駅 針谷 栄子
かなかなの強き響きに励まさる 岡戸 林風
パラリンピック
日本の秋風を背にゴールイン 坪井 信子
未知なるを恐れもせずに飛蝗跳ぶ 市原 久義
(清記順)
【一口鑑賞】「間引菜の青より朝の始まりぬ」正子さんの句。大根、蕪、小松菜などの菜類は多めに種を蒔き、苗が密生してきたら間引く。これが「間引菜」で秋の季語。味噌汁に入れたり、お浸しにしたりすると柔くて美味しい。この句は朝ごはんの準備をしながら、若々しい菜類の青さを目にする作者の姿が浮かんでくる。丈夫で台所に立てる幸せを噛み締めているのだろう。「痩身の秋刀魚へよくぞ此処までと」隣安さんの句。秋刀魚は秋の味覚の代表格だが、一昨年から深刻な不漁が続いている。海流の変化が原因とされ、今年も苦戦しているようだ。この句は、食卓に上った「痩身の秋刀魚」を目の前に思わずつぶやいた言葉なのだろう。食物への感謝を決して忘れない作者の人柄が表れた一句。(潔)
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