艸句会報:東陽(令和3年9月)
東陽通信句会
高点2句
衣被老いて諍ふたねもなく 岡崎由美子
山小屋も宙に浮き出る星月夜 中川 照子
初さんま桶の冷水光らせて 岡崎由美子
爽やかに嫁と心が通じたる 斎田 文子
秋澄むや容あるもの美しく 堤 やすこ
暮れなづむ路地の片すみ夕化粧 岡戸 林風
栗抱く栗より巨き小栗鼠の目 中川 照子
歌ひつつ長寿体操野分晴 貝塚 光子
ぶらぶらと来てぶらぶらと生姜市 山本 潔
頂に秋雲をのせ利尻富士 長澤 充子
人ごゑのやさしくなりぬ白露かな 安住 正子
夕暮れの犬の散歩や白芙蓉 向田 紀子
電子辞書に鳥の声聴く秋日和 中島 節子
ワンマンの亡父のステッキ蚯蚓鳴く 新井 洋子
気がつけば地味な人生ちちろ鳴く 松本ゆうき
ささやきは五百羅漢か竹の春 飯田 誠子
(清記順)
【一口鑑賞】「衣被老いて諍ふたねもなく」由美子さんの句。「衣被」は里芋の子芋を、皮を剥かずにそのまま茹でたもの。指先で衣を脱ぐように皮がつるりと剥ける。俳人には人気の高い季語と言っていい。この句は、具体的なことは何も言っていないが、家族や老いた兄弟姉妹との関係を詠んでいるように思える。「諍ふたねもなく」とは、互いに助け合ってうまくいっているということの証だろう。「爽やかに嫁と心が通じたる」文子さんの句は「嫁」との関係を詠んだ。読み手は想像力をかき立てられるが、実はたわい無いことで気が合っただけなのかもしれない。「爽やか」は秋の清々しさをいう季語で、主観的な意味合いが強い。この句は、大気が澄んで心身のさっぱりした感じと、お嫁さんと気持ちが通じた感覚を端的に重ね合わせたのではないか。(潔)
高点2句
衣被老いて諍ふたねもなく 岡崎由美子
山小屋も宙に浮き出る星月夜 中川 照子
初さんま桶の冷水光らせて 岡崎由美子
爽やかに嫁と心が通じたる 斎田 文子
秋澄むや容あるもの美しく 堤 やすこ
暮れなづむ路地の片すみ夕化粧 岡戸 林風
栗抱く栗より巨き小栗鼠の目 中川 照子
歌ひつつ長寿体操野分晴 貝塚 光子
ぶらぶらと来てぶらぶらと生姜市 山本 潔
頂に秋雲をのせ利尻富士 長澤 充子
人ごゑのやさしくなりぬ白露かな 安住 正子
夕暮れの犬の散歩や白芙蓉 向田 紀子
電子辞書に鳥の声聴く秋日和 中島 節子
ワンマンの亡父のステッキ蚯蚓鳴く 新井 洋子
気がつけば地味な人生ちちろ鳴く 松本ゆうき
ささやきは五百羅漢か竹の春 飯田 誠子
(清記順)
【一口鑑賞】「衣被老いて諍ふたねもなく」由美子さんの句。「衣被」は里芋の子芋を、皮を剥かずにそのまま茹でたもの。指先で衣を脱ぐように皮がつるりと剥ける。俳人には人気の高い季語と言っていい。この句は、具体的なことは何も言っていないが、家族や老いた兄弟姉妹との関係を詠んでいるように思える。「諍ふたねもなく」とは、互いに助け合ってうまくいっているということの証だろう。「爽やかに嫁と心が通じたる」文子さんの句は「嫁」との関係を詠んだ。読み手は想像力をかき立てられるが、実はたわい無いことで気が合っただけなのかもしれない。「爽やか」は秋の清々しさをいう季語で、主観的な意味合いが強い。この句は、大気が澄んで心身のさっぱりした感じと、お嫁さんと気持ちが通じた感覚を端的に重ね合わせたのではないか。(潔)
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