艸句会報:連雀(令和3年11月17日)
連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「母」
高点2句
茶の花や今なら解る母のこと 春川 園子
しぐるるや近くて遠き針の孔 束田 央枝
亡き母のへそくり眠る冬座敷 松本ゆうき
木漏れ日の重なり合へる小春かな 渕野 宏子
山茶花や母娘最後の伊豆の旅 春川 園子
近くに死見え隠れして種を採る 横山 靖子
紅葉や檻より人を見るゴリラ 坪井 信子
大根の抜かれし穴に夕日さす 松成 英子
和菓子舗に書肆に茶房に聖樹かな 中島 節子
小雪やパンの酵母の芳しく 山本 潔
蜜柑むく二人で居ても独り言 飯田 誠子
鋤焼や下戸のまじりて一家系 向田 紀子
筆持つとすぐ眠くなる一葉忌 束田 央枝
賞のなき大菊軒に愛しめり 安住 正子
産土神の鴟尾輝やける冬の晴 進藤 龍子
大綿の群れをはずれし一つに日 矢野くにこ
(清記順)
【一口鑑賞】「茶の花や今なら解る母のこと」園子さんの句。句意は明快だ。若いころは母の言うことに素直になれなかったり、反発したりしたこともあったのだろう。そんな昔を思い出しながら、今なら母の気持ちがよく理解できると感じている作者。「茶の花」は初冬に咲くが、同じツバキ科の山茶花や寒椿に比べると、ひっそり咲いている。穏やかな冬の日差しのなかで母を懐かしく思う気持ちを詠んだ。「しぐるるや近くて遠き針の孔」央枝さんの句。「時雨」は冬の初めの通り雨。短時間にぱらぱらと降る音が冬の到来を告げる。この句は、縫い物をしようとしているところだろう。針の孔(あな)になかなか糸が通らないじれったさを「近くて遠き」と巧みに表現した。生活のなかの手元の1シーンを詠み、滑稽味のある句に仕上げた。(潔)
兼題「母」
高点2句
茶の花や今なら解る母のこと 春川 園子
しぐるるや近くて遠き針の孔 束田 央枝
亡き母のへそくり眠る冬座敷 松本ゆうき
木漏れ日の重なり合へる小春かな 渕野 宏子
山茶花や母娘最後の伊豆の旅 春川 園子
近くに死見え隠れして種を採る 横山 靖子
紅葉や檻より人を見るゴリラ 坪井 信子
大根の抜かれし穴に夕日さす 松成 英子
和菓子舗に書肆に茶房に聖樹かな 中島 節子
小雪やパンの酵母の芳しく 山本 潔
蜜柑むく二人で居ても独り言 飯田 誠子
鋤焼や下戸のまじりて一家系 向田 紀子
筆持つとすぐ眠くなる一葉忌 束田 央枝
賞のなき大菊軒に愛しめり 安住 正子
産土神の鴟尾輝やける冬の晴 進藤 龍子
大綿の群れをはずれし一つに日 矢野くにこ
(清記順)
【一口鑑賞】「茶の花や今なら解る母のこと」園子さんの句。句意は明快だ。若いころは母の言うことに素直になれなかったり、反発したりしたこともあったのだろう。そんな昔を思い出しながら、今なら母の気持ちがよく理解できると感じている作者。「茶の花」は初冬に咲くが、同じツバキ科の山茶花や寒椿に比べると、ひっそり咲いている。穏やかな冬の日差しのなかで母を懐かしく思う気持ちを詠んだ。「しぐるるや近くて遠き針の孔」央枝さんの句。「時雨」は冬の初めの通り雨。短時間にぱらぱらと降る音が冬の到来を告げる。この句は、縫い物をしようとしているところだろう。針の孔(あな)になかなか糸が通らないじれったさを「近くて遠き」と巧みに表現した。生活のなかの手元の1シーンを詠み、滑稽味のある句に仕上げた。(潔)
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