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艸句会報:かつしか(令和3年11月28日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「北窓塞ぐ」

高点1句
工房の一人一灯北塞ぐ        霜田美智子

北窓を塞げば聞こゆ童歌       近藤 文子
北塞ぐ漁村まばらや陸奥の旅     佐治 彰子
姥捨のスイッチバック冬田道     小野寺 翠
北窓を塞ぐ良き夢見るために     山本  潔
小春日やズボンの丈を少し詰め    伊藤 けい
そぞろ寒そつと触れたる予後の傷   片岡このみ
失敗のひとつやふたつ冬すみれ    中山 光代
孫に弾くユーモレスクや室の花    西村 文華
大甕の朝日親しき初氷        新井 洋子
北窓を塞ぐ一部屋納戸めく      三尾 宣子
すり切れし豆本の歌詞白秋忌     霜田美智子
おほかたは慰留品なり北塞ぐ     平川 武子
北塞ぐ庄屋は町の資料館       高橋美智子
秋うらら今日満願の朱印帳      千葉 静江
腰痛と連れ添ふ覚悟冬隣       西川 芳子
ひとひらも千枚も良し散紅葉     山田 有子
揺るる実の名は知らぬまま小春空   笛木千恵子
城跡の広き曲輪や落葉踏む      五十嵐愛子
ポケットにいつものど飴四温かな   新井 紀夫

(清記順)

【一口鑑賞】工房の一人一灯北塞ぐ」霜田美智子さんの題詠。黙々と仕事に打ち込む人の姿が想像される。北窓を塞いだ工房はふだんより暗く、「一灯」が心象的な雰囲気を醸している。シンプルな詠みぶりに人気が集まったが、やはり何の工房なのかがわからないままでは広がりを欠く。葛飾区に住む刀鍛冶、吉原義一さんの工房とのこと。「刀匠の工房一灯北塞ぐ」とでもすれば具体性が増すのではないか。「腰痛と連れ添ふ覚悟冬隣」芳子さんの句。寒さが感じられるようになると、身体の不調を感じやすくなる。腰痛もその一つで、湿布を貼ったり、中にはコルセットをしたりする人もいる。作者も腰痛とは長く付き合ってきたのだろう。「連れ添ふ覚悟」とはなかなか堂に入っている。腰痛を擬人化しておかしみの感じられる一句。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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