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艸句会報:連雀(令和3年12月1日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「一」

高点1句
山茶花のいつ咲きしとも散りしとも  安住 正子

癒えし身を定席に置く納め句座    安住 正子
一湾に冬日煌めく帯なせり      中島 節子
熱燗や銀座の露地の二号店      松成 英子
八ケ岳から富士山へ冬の旅      横山 靖子
五つ玉そろばんはじく酉の市     束田 央枝
日々のこと娘恃みの十二月      春川 園子
日記買ふ秘すほどのことありやなしや 松本ゆうき
寒林の一樹一樹の霊気かな      山本  潔
一旦は鉾を収めて葱鮪鍋       向田 紀子
今ここで時間よ止まれ冬至風呂    渕野 宏子
そびえ立つ壁よチャペルの蔦紅葉   飯田 誠子
祖父祖母の恋の話や水仙花      坪井 信子

(清記順)

【一口鑑賞】一湾に冬日煌めく帯なせり」節子さんの題詠。住まいは江戸川区だから、葛西臨海公園にはよく吟行に出かけるのだろう。そこから見える東京湾を「一湾」と大きく捉えている。冬の太陽は弱々しいが、よく晴れた日にはぽかぽかと温もりが感じられる。そんな日差しが湾にキラキラと帯をなす景を素直に捉えた。作者自身の気持ちの穏やかさが投影されているのではないか。「今ここで時間よ止まれ冬至風呂」宏子さんの一句。12月に入り、急に寒さが増してくると「冬至」が待ち遠しい。あと3週間ほどだが、作者は「冬至には南瓜を煮て、お風呂には柚子を浮かべよう…」とあれこれイメージしているのだろう。俳句は時候や行事などを先取りして詠むことが往々にしてある。この句は「冬至風呂」への作者の並々ならぬ思いが込められている気がする。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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