艸句会報:若草(令和3年12月11日)
若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「風」
高点2句
ストーブの灯油ごくんと鳴りにけり 安住 正子
一味振る鴨南蕎麦の焦がし葱 新井 洋子
名画座のヴィヴィアン・リーや十二月 新井 紀夫
絨毯の端につまづく十二月 飯田 誠子
十二月八日ガチャポンより真珠 針谷 栄子
ままならぬ一句推敲湯ざめして 岡戸 林風
予後の身と言うてもをれず十二月 安住 正子
雪女マスク残して消えにけり 山本 潔
農業祭大根ほめ合ふ空の青 吉﨑 陽子
冬凪や輪廻の果ての虚貝 新井 洋子
黒姫と妙高迫るりんご村 石田 政江
雪掻きのささらも北の風物詩 市原 久義
伏すよりも立つもの悲し枯芒 隣 安
濁声で電話して来る風邪つ引 松本ゆうき
師の紬ゆるりとまとひ句座納め 沢渡 梢
(清記順)
【一口鑑賞】「ストーブの灯油ごくんと鳴りにけり」正子さんの句。こういう音を誰しも聞いたことがあるだろう。気がつくのは大抵ストーブを消してしばらくたってから。灯油の入ったタンク内の空気が冷えて収縮し、タンクに空気が入るためらしい。部屋が静かだと意外に大きく鳴る。この句は「ごくんと」の措辞が絶妙で共感を呼んだ。冬の生活のなかで聞こえてくる音にじっと耳を澄ませて詠んだ一句。「十二月八日ガチャポンより真珠」栄子さんの句。「ガチャポン」はカプセルに入ったおもちゃの販売機。米国で誕生し、国内ではバンダイが1970年代後半から市場を切り開いた。何と「ガチャポン」から「真珠」が出てきたという。「開戦日に真珠はつき過ぎでは」との声も出たが、今や子どもから大人まで親しんでいる「ガチャポン」との取り合わせに意外性があり、むしろ「真珠」にハッとさせられた。(潔)
兼題「風」
高点2句
ストーブの灯油ごくんと鳴りにけり 安住 正子
一味振る鴨南蕎麦の焦がし葱 新井 洋子
名画座のヴィヴィアン・リーや十二月 新井 紀夫
絨毯の端につまづく十二月 飯田 誠子
十二月八日ガチャポンより真珠 針谷 栄子
ままならぬ一句推敲湯ざめして 岡戸 林風
予後の身と言うてもをれず十二月 安住 正子
雪女マスク残して消えにけり 山本 潔
農業祭大根ほめ合ふ空の青 吉﨑 陽子
冬凪や輪廻の果ての虚貝 新井 洋子
黒姫と妙高迫るりんご村 石田 政江
雪掻きのささらも北の風物詩 市原 久義
伏すよりも立つもの悲し枯芒 隣 安
濁声で電話して来る風邪つ引 松本ゆうき
師の紬ゆるりとまとひ句座納め 沢渡 梢
(清記順)
【一口鑑賞】「ストーブの灯油ごくんと鳴りにけり」正子さんの句。こういう音を誰しも聞いたことがあるだろう。気がつくのは大抵ストーブを消してしばらくたってから。灯油の入ったタンク内の空気が冷えて収縮し、タンクに空気が入るためらしい。部屋が静かだと意外に大きく鳴る。この句は「ごくんと」の措辞が絶妙で共感を呼んだ。冬の生活のなかで聞こえてくる音にじっと耳を澄ませて詠んだ一句。「十二月八日ガチャポンより真珠」栄子さんの句。「ガチャポン」はカプセルに入ったおもちゃの販売機。米国で誕生し、国内ではバンダイが1970年代後半から市場を切り開いた。何と「ガチャポン」から「真珠」が出てきたという。「開戦日に真珠はつき過ぎでは」との声も出たが、今や子どもから大人まで親しんでいる「ガチャポン」との取り合わせに意外性があり、むしろ「真珠」にハッとさせられた。(潔)
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