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艸句会報:東陽(令和3年12月)

東陽通信句会

高点1句
鬼平も俊寛も亡き年の暮       山本  潔

強面の落語家よぎる町師走      中川 照子
蘆枯るる河原に小さき旋風      岡崎由美子
傘さげて帰る裏道花八つ手      中島 節子
枯草に濁点のごと鴉かな       松本ゆうき
下ろし金目立てに出すや十二月    飯田 誠子
両足で笑まふ嬰子や冬うらら     安住 正子
中天の冬満月の小ささよ       斎田 文子
青白き光を曳いて雪ばんば      山本  潔
風呂吹や今更ながら妻の恩      岡戸 林風
母のこと甥と語らふ冬至かな     堤 やすこ
日の射して峡の目覚めの冬菜畑    新井 洋子
残照の波に揺れゐる鴨の群れ     貝塚 光子
山茶花の香りをもたぬ定めかな    向田 紀子

(清記順)

【一口鑑賞】強面の落語家よぎる町師走」照子さんの句。師走の下町で買い物でもしていたのだろう。何にでも興味を持つ作者はふだんと変わらないペースで周囲を観察しながら歩いている。ふと目に飛び込んできたのは、落語の番組でも見る顔だ。しかもなんだか怖そうに見える。そんな様子を「師走だし、噺家さんも大変なのねぇ」と思いながら一句にした。「下ろし金目立てに出すや十二月」誠子さんの句。「目立て」は鋸(のこぎり)や鑢(やすり)などの目が鈍ったのを鋭くすること。作者は、大根や生姜の下ろし金をそれに出したのだ。使い込んで愛着のある道具なのだろう。忙しない「十二月」だからこそ台所用品の手入れも大切だと思わせてくれる一句。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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