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艸句会報:船橋(令和3年12月25日)

船橋句会(船橋市勤労市民センター
兼題「時計」

高点2句
寒風や粛然として楷一樹       岡戸 林風
熱燗や捨てたる夢の数いくつ     山本 吉徳

数へ日や時計回りに掻く納豆     山本  潔
今年こそ「和光」で時計買ふつもり  矢島 捷幸
知らぬ子の挨拶受くる冬至かな    川原 美春
踊り出るからくり時計街師走     岡戸 林風
抜かり無き主婦の段取り年用意    市原 久義
愛子妃の二十歳のティアラ冬ぬくし  針谷 栄子
底冷えの寺に鳴りたる古時計     山本 吉徳
手の中の陽だまりひとつ冬林檎    並木 幸子
古日記流るる時の速さかな      小杉 邦男
冬晴のスカイツリーの影長し     三宅のり子

(清記順)

【一口鑑賞】寒風や粛然として楷一樹」林風さんの句。「楷(かい)」はウルシ科の落葉高木。高さは20メートルを超える。孔子の墓に植えられたことにちなみ、「クシノキ(孔子の木)」とも呼ばれる。東京・御茶ノ水の湯島聖堂の楷はパワースポットとしても有名だ。作者は10月末に奥様に先立たれたばかり。この句は、寒風の吹き荒ぶなかに粛然と立つ「楷一樹」に作者自身の姿を投影している。「古日記流るる時の速さかな」邦男さんの句。年末にページの残り少なくなったのが「古日記」。それをパラパラめくり返しながら、この1年を振り返っている作者。つい最近のことまで遠い過去のように思えてくるから不思議だ。まさに「流るる時の速さ」を実感するのがこの時期。素直に詠まれた一句。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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