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艸句会報:連雀(令和4年1月5日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「五日」

高点3句
逝きし人すべていとほし冬桜     横山 靖子
老いしこと忘れてゐたり初鏡     安住 正子
牛日や一人のための薬缶の湯     坪井 信子

句心に添ひて生きたし老の春     矢野くにこ
大甕の花の水替ふ五日かな      安住 正子
音信の復活うれし年賀状       向田 紀子
年新た心新たに年女         春川 園子
逝く年や父は高木母は大樹      山本  潔
健やかに老いを生きたし寒卵     飯田 誠子
野阜の冬芽促す護摩太鼓       束田 央枝
細々と残る記憶や初むかし      松本ゆうき
左手に真砂女の句集師走かな     坪井 信子
棚奥の大鉢小鉢年用意        中島 節子
赤色のパンタロン行く冬日和     渕野 宏子
娘の一家帰り洗濯する五日      松成 英子
若者とシャンパンを酌む大晦日    横山 靖子

(清記順)

【一口鑑賞】牛日や一人のための薬缶の湯」信子さんの句。正月五日が「牛日」。ちなみに一日は「鶏(けい)日」、二日は「狗(く)日」、三日は「猪(ちょ)日」、四日は「羊(よう)日」、六日は「馬(ば)日」。七日になって「人(じん)日」となる。昔の中国の占いが関係しているらしい。掲句は、世間の仕事始めと重なる日に一人でいる寂しさを詠んだのだろう。薬缶の湯を「一人のための」と限定したところに境涯感が滲み出ている。「音信の復活うれし年賀状」紀子さんの句。年賀状の発行枚数は年々減少しており、近年は「来年からは賀状を失礼します」と書き添えてくる人もいる。年賀状を書く大変さを詠む人も少なくないが、この句は音信の耐えていた人から賀状が届いた喜びを素直に詠んだ。清々しさが伝わってくる。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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