艸句会報:若草(令和4年1月8日)
若草句会(亀有 ギャラリー・バルコ)
兼題「若」
高点3句
凍雲や居るべき人のゐない家 山本 潔
おしやべりに葱の顔出すエコバック 市原 久義
魴鮄のやうな顔して炬燵夫 安住 正子
風の日の寒林管弦楽のやう 坪井 信子
羊羹の尻押してゐる女正月 安住 正子
若水を鉢の魚にも分けにけり 新井 紀夫
初場所やかつて郷土に若秩父 山本 潔
東京のへそのあたりや初詣 松本ゆうき
鎌鼬疎開の記憶新たにす 新井 洋子
若返るための断食初湯かな 沢渡 梢
天を指す欅の梢や深雪晴 岡戸 林風
転ぶなよ風邪引くなよと初便り 吉﨑 陽子
独楽ぶれてこれぞ地球の断末魔 市原 久義
弓形に撓む太枝蜜柑の黄 石田 政江
大旦煮しめに咲かす捻り梅 針谷 栄子
酔ふほどに戦後を語るおでん酒 飯田 誠子
(清記順)
【一口鑑賞】「おしやべりに葱の顔出すエコバック」久義さんの句。奥様と一緒にスーパーへ買い物に行った帰りだろうか。知人とばったり会って世間話に夢中になっている奥様をじっと観察している作者。奥様は時折エコバックを持つ手を替えたり、肩にかけたりしている。そのうち葱が待ちくたびれたかのようにバックから顔を出したのだ。冬の鍋物には欠かせない葱をユーモラスに捉えた一句。「若水を鉢の魚にも分けにけり」紀夫さんの句。「若水」は元朝に汲む水のこと。邪気を払う神聖なものとされ、かつては年男が井戸や川の水を汲んで神棚に供えた。今や水道水やペットボトルの水であっても、水を敬う気持ちを込めて「若水」と呼ぶ。そんなめでたい水を、飼っている魚にも分け与えた作者。生き物を愛する気持ちが現れている。(潔)
兼題「若」
高点3句
凍雲や居るべき人のゐない家 山本 潔
おしやべりに葱の顔出すエコバック 市原 久義
魴鮄のやうな顔して炬燵夫 安住 正子
風の日の寒林管弦楽のやう 坪井 信子
羊羹の尻押してゐる女正月 安住 正子
若水を鉢の魚にも分けにけり 新井 紀夫
初場所やかつて郷土に若秩父 山本 潔
東京のへそのあたりや初詣 松本ゆうき
鎌鼬疎開の記憶新たにす 新井 洋子
若返るための断食初湯かな 沢渡 梢
天を指す欅の梢や深雪晴 岡戸 林風
転ぶなよ風邪引くなよと初便り 吉﨑 陽子
独楽ぶれてこれぞ地球の断末魔 市原 久義
弓形に撓む太枝蜜柑の黄 石田 政江
大旦煮しめに咲かす捻り梅 針谷 栄子
酔ふほどに戦後を語るおでん酒 飯田 誠子
(清記順)
【一口鑑賞】「おしやべりに葱の顔出すエコバック」久義さんの句。奥様と一緒にスーパーへ買い物に行った帰りだろうか。知人とばったり会って世間話に夢中になっている奥様をじっと観察している作者。奥様は時折エコバックを持つ手を替えたり、肩にかけたりしている。そのうち葱が待ちくたびれたかのようにバックから顔を出したのだ。冬の鍋物には欠かせない葱をユーモラスに捉えた一句。「若水を鉢の魚にも分けにけり」紀夫さんの句。「若水」は元朝に汲む水のこと。邪気を払う神聖なものとされ、かつては年男が井戸や川の水を汲んで神棚に供えた。今や水道水やペットボトルの水であっても、水を敬う気持ちを込めて「若水」と呼ぶ。そんなめでたい水を、飼っている魚にも分け与えた作者。生き物を愛する気持ちが現れている。(潔)
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