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艸句会報:かつしか(令和4年1月23日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「初東風」

高点5句
書初の夫の硯へ足すさみず      山田 有子
微笑みに微笑み返す初鏡       高橋美智子
百千鳥集ふあの家何かある      松本ゆうき
呑むほどに佳き水のごと年の酒    山本  潔
寒見舞古都の和菓子の紅ほのか    佐治 彰子

川岸の午後の散歩や日脚伸ぶ     平川 武子
初春やパンダの一家ほのぼのと    山田 有子
卓囲み笑顔ここのつ千代の春     西村 文華
初東風や落人村の峠道        佐治 彰子
印伝の小さき財布を買初に      伊藤 けい
社長の訓示壁に掲げる初仕事     高橋美智子
初御空反り返り見る御神木      近藤 文子
初春や尼の板書の楷書体       笛木千恵子
雪原の涯に煌めく海の紺       新井 洋子
初東風やペダルを踏めば旅心地    五十嵐愛子
大寒の光る水面のいと眩し      小野寺 翠
初東風やほど良き知らせ連れて来い  三尾 宣子
 愛宕神社
今更に出世坂など初詣        新井 紀夫
冬満月女医に診らるる尻ひとつ    松本ゆうき
清正の水湧くところ春を待つ     山本  潔

(清記順)

【一口鑑賞】書初の夫の硯へ足すさみず」有子さんの句。年が明けて初めて筆で文字や絵を描くのが「書初」。書くことそのものを重んじる儀式として二日に宮中で行われていたのが江戸時代以降は庶民にも広まった。習字といえば墨汁に頼りがちだが、作者のご主人は硯で墨を摺ることを大事にしているのだろう。そばでじって見ている作者が「さみず(真水)」を足す様子も厳かに感じられる。「微笑みに微笑み返す初鏡」高橋美智子さんの句。いきなり「微笑みに」で始まり、さらに「微笑み返す」とたたみ掛けたところで「初鏡」が目の前に現れる。どちらも作者(あるいは読者)自身のものだとわかると、肩透かしを食わされたようでありながら、何だか楽しくなる一句。(潔)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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