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艸句会報:東陽(令和4年3月)

東陽通信句会

印象句
雛仕舞ふ雛の吐息と吾が吐息     岡崎由美子
【一口鑑賞】俳句には一読して意味が明快なものもあれば、曖昧だが惹かれる句もある。どちらがいいとは一概に言えない。私は作者の心の揺らぎを感じたいと思っている。掲句は雛納めの場面。思い出の詰まったお雛様との対話を大事にしてきた作者。何かと不安なことが多い今の世の中にあって、仕舞う前に自分自身の気持ちをお雛様に打ち明けたのだろう。二つの「吐息」からそこはかとない寂しさが伝わってくる一句。(潔)

帰り際女雛の髪にふれゆく子     中川 照子
気がつけばドラマの終り春眠し    斎田 文子
何とまあ日の経つ速さ彼岸過ぎ    堤 やすこ
生垣に門を構へず梅屋敷       向田 紀子
限りなくうぐひす色の春の夢     山本  潔
橋脚にからみし蔓の芽吹きかな    安住 正子
追憶の淡き苦みや青き踏む      岡戸 林風
麗かや大川端に夫とゐて       貝塚 光子
山寺の大回廊や花吹雪        長澤 充子
手秤の右手左手春キャベツ      新井 洋子
蒲公英やころころ笑ふお嫁さん    飯田 誠子
今すぐに戦止むべし麦青む      松本ゆうき
亀鳴くや体重計へ二度三度      中島 節子

(清記順)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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