fc2ブログ

艸句会報:かつしか(令和4年4月24日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「落し角」(「落」「角」の詠み込みも可)

印象句
生き方を自問してをり落し角     西川 芳子
【一口鑑賞】牡鹿の角は春に根元から抜け落ちる。これが「落し角」。角が落ちた鹿は気力が萎えるらしく、どこか寂しげに見える。遅くとも秋には新しい角が現れるが、それまでどんな気持ちでいるのだろう。この句は、そんな鹿のことを思いやりながら、作者自身の今を重ね合わせている。頼りにしていたお兄様が亡くなり、途方に暮れているそうだ。こうして俳句を詠むことで、自分の心を落ち着かせているのかもしれない。(潔)

花吹雪天守の鯱に届かざる      佐治 彰子
蚕豆の三つ子に双子一人つ子     小野寺 翠
村正の妖刀伝や春の雷        笛木千恵子
亀有の角の伊勢屋の柏餅       新井 紀夫
この風に乗れば天下よ五月鯉     近藤 文子
きりりと立つ楷の新樹と孔子像    五十嵐愛子
戦止むひまわり畑春の夢       西村 文華
春惜しむ銀座の角のテラス席     山本  潔
落し角仏像展の阿修羅像       千葉 静江
冷やかしを冷やかされ買ふ植木市   霜田美智子
春寒や北信五山はるかなり      伊藤 けい
汐まねきかはたれ星に振る鉗     新井 洋子
ほろ苦し蕗刈る指の先までも     片岡このみ
空想癖の孫につかまり春炬燵     高橋美智子

(清記順)
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
艸俳句会カウンター
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
940位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
小説・詩
27位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR