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艸句会報:若草(令和4年7月9日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「限」

印象句
山野草咲かせ我が家の山開き     針谷 栄子
【一口鑑賞】「山開き」は霊山信仰から生まれた夏の季語。富士山、大峯山、月山などに、その年初めて入ること。古くは卯月八日に山に登り、山の神を拝む風習があった。さて、この句はそんな季語の本意からはかけ離れているように見える。しかし、作者にとっては信仰の山が今も心のなかにあるのだろう。体力的に登山ができなくなっても、山の安全や平穏を願いながら、自宅の庭の山野草を眺めている作者。「山開き」への思いが込められている。(潔)

白昼の凶弾夏を悲します       山本  潔
胃カメラのあとの夕餉の大鰻     市原 久義
四万六千日電気ブランの軽い酔ひ   新井 紀夫
箱庭や石ひとつ足し名園に      新井 洋子
羅にとほす鋼の心意気        針谷 栄子
父と子の影近づき来簾越し      石田 政江
限りある道と思ほゆ沙羅の雨     沢渡  梢
万緑の幼の一歩光あれ        吉﨑 陽子
坂多き街に住みけり鷗外忌      松本ゆうき
耐へるのも限界ですよこの酷暑    安住 正子
限定の一書手元に夕端居       岡戸 林風
青葉若葉匂ふ木椅子のにぎり飯    飯田 誠子

(清記順)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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