艸句会報:東陽(令和4年10月22日)
東陽句会(江東区産業会館)
兼題 折句ひあな 例句/灯が洩れて秋の簾となりにけり
詠込「文」
印象句
することのなくて耳かく小春かな 堤 やすこ
【一口鑑賞】一読してすっと心に入ってきた。ただ耳をかいただけのことなのに真実味がある。上五から中七への句またがりにも淀みがない。下五に置いた「小春かな」が効いている。初冬の季語で、本格的な冬の寒さに向かう前の、暖かさの戻る日和を言う。俳句は十七音の短い詩型だから、多くを言うことはできない。この句は「することのなくて」のシンプルな言葉がそれらしい情景を浮かび上がらせた。この秋、作者はめでたく卒寿になられた。(潔)
冷やかに朝の浦町なまこ壁 岡戸 林風
路地裏の耳かけ地蔵菊日和 斎田 文子
一葉落つ朝の散歩の永田町 山本 潔
アルバムに一通の文秋深し 岡崎由美子
新聞のまづ漫画より文化の日 中島 節子
比叡にも悪僧をりし流れ星 中川 照子
実柘榴や弁士碑文の露西亜文字 松本ゆうき
高速の船に乱るる鴨の陣 新井 紀夫
仏手柑ありがたしとも怖しとも 新井 洋子
火恋し削除に終はる夜のスマホ 向田 紀子
秋深し写真の裏の父の文字 堤 やすこ
付け文といふ遠き日や葉鶏頭 飯田 誠子
日の燦と赤き色増す七竈 安住 正子
(清記順)
兼題 折句ひあな 例句/灯が洩れて秋の簾となりにけり
詠込「文」
印象句
することのなくて耳かく小春かな 堤 やすこ
【一口鑑賞】一読してすっと心に入ってきた。ただ耳をかいただけのことなのに真実味がある。上五から中七への句またがりにも淀みがない。下五に置いた「小春かな」が効いている。初冬の季語で、本格的な冬の寒さに向かう前の、暖かさの戻る日和を言う。俳句は十七音の短い詩型だから、多くを言うことはできない。この句は「することのなくて」のシンプルな言葉がそれらしい情景を浮かび上がらせた。この秋、作者はめでたく卒寿になられた。(潔)
冷やかに朝の浦町なまこ壁 岡戸 林風
路地裏の耳かけ地蔵菊日和 斎田 文子
一葉落つ朝の散歩の永田町 山本 潔
アルバムに一通の文秋深し 岡崎由美子
新聞のまづ漫画より文化の日 中島 節子
比叡にも悪僧をりし流れ星 中川 照子
実柘榴や弁士碑文の露西亜文字 松本ゆうき
高速の船に乱るる鴨の陣 新井 紀夫
仏手柑ありがたしとも怖しとも 新井 洋子
火恋し削除に終はる夜のスマホ 向田 紀子
秋深し写真の裏の父の文字 堤 やすこ
付け文といふ遠き日や葉鶏頭 飯田 誠子
日の燦と赤き色増す七竈 安住 正子
(清記順)
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