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艸句会報:東陽(令和5年3月25日)

東陽句会(江東区産業会館)
兼題 テーマ「小動物」

印象句
虫偏の字を抜けだして蝌蚪生まる    岡戸 林風
【一口鑑賞】「蝌蚪(かと)」はおたまじゃくし。古代の中国では墨が発明される前に漆で竹簡に文字を書いたが、線の頭が大きく線尾は細く、おたまじゃくしの形に似ていたことから「科斗文字」と呼ばれた。掲句は、それを踏まえて詠まれたのだろう。虫偏のない「科斗」だけ見ていると一画一画がおたまじゃくしに見えてくるから面白い。こうした詠み方は昭和の俳人、富安風生も得意だった。風生好きの作者はこの3月、第一句集『彼我』を上梓した。(潔)

伐採のしるしのリボン老桜       中川 照子
渡し場のここぞ雲雀の鳴き処      新井 紀夫
池に映る樹林の影や巣立鳥       岡戸 林風
梅日和男手前の野点かな        中島 節子
朝市の海女のテントや栄螺焼く     安住 正子
失意の子に明日があるさと朝桜     新井 洋子
彼の俳句我の俳句や百千鳥       山本  潔
連山の名前は知らず遠霞        斎田 文子
磯巾着ひとつが開く忘れ潮       岡崎由美子
花冷や紅茶の香る喫茶店        飯田 誠子
春一番ロボット犬の名はさくら     堤 やすこ
老木の凛々しく花を咲かせをり     松本ゆうき

(清記順)
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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