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艸句会報:東陽(令和5年4月22日)

東陽句会(江東区産業会館)
兼題 テーマ「折句たおく」例句 旅せんと思ひし春も暮れにけり 虚子

印象句
田螺鳴く幼なじみと酌む一夜     岡崎由美子
【一口鑑賞】「田螺鳴く」は「亀鳴く」と同じ春の季語。秋の「蚯蚓鳴く」「蓑虫鳴く」と同様で、実際には鳴かないものを鳴かしてしまうところが俳句の面白いところ。和歌や古い文献に基づいているようだが、空想の季語として定着している。久しぶりに小学校の同級会に出た作者。コロナ禍で会えなかった幼なじみとも再会して昔話に花が咲いたのだろう。この句は、季語がほどよく効いている。折句とは思えない、全く不自然さのない作品に仕上がった。(潔)

まくなぎと客引きからは逃げるのみ  松本ゆうき
春の夢はるかに響く打球音      飯田 誠子
ひんやりと谷戸の夕ぐれ残る花    岡崎由美子
春筍の土もち上げてゐる時間     安住 正子
たんぽぽや親に似てくる暮らしぶり  堤 やすこ
株分けを育て幾年君子蘭       中島 節子
青きもの青く茹で上げ春惜しむ    新井 洋子
泰山木咲く大きな家の句会かな    斎田 文子
少年のこころ抱きて茅花引く     岡戸 林風
山ざくら峠をひとつ越えてより    山本  潔
雪解道短歌へのみち家持像      中川 照子
聞き逃すことの増えたり草の餅    向田 紀子
桜蘂降る流鏑馬の女騎手       新井 紀夫

(清記順)
※次回(5月27日)の兼題は「折句あしな」<例句>頭の中で白い夏野となつてゐる 高屋窓秋
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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