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艸句会報:かつしか(令和5年4月23日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「蜃気楼」

印象句
漁船いま蜃気楼へと呑まれゆく    新井 洋子
【一口鑑賞】「蜃気楼」は晩春の季語。空気の温度変化による光の異常な屈折により、見えるはずのないものが海や砂漠などに浮かび上がる現象。「蜃」という水中の大蛤が吐き出す気によってつくられる幻影と考えられたことが語源のようだ。掲句は、この日の最高点を獲得した。実際に見たことがない人にもそれらしい映像が頭に浮かんだからだろう。「漁船いま」の措辞に臨場感がある。国内では魚津市の蜃気楼が有名。同じものは二度と見られないという。(潔)

蜃気楼空けてしまつた玉手箱     高橋美智子
遠のける街の喧騒飛花落花      平川 武子
萬愚節炙り出しの絵燃えにけり    霜田美智子
青い鳥探す途中や蜃気楼       小野寺 翠
蜃気楼AIに問ふ詩の未来       山本  潔
しばらくは留守といふ家たんぽぽ黄  笛木千恵子
寄り道の一つ増えたる日永かな    西川 芳子
初夏だより令和と書くも常となり   近藤 文子
ランチ皿運ぶロボット昭和の日    片岡このみ
伸び伸びと自由自在に花薺      西村 文華
遠隔の恋の話や蜃気楼        伊藤 けい
端座して法話を聴くや弥生尽     新井 紀夫
そよ風や代官山の花楓        五十嵐愛子
能登瓦光る町家や燕来る       佐治 彰子
天と地の間に人の世目刺焼く     新井 洋子
ファミレスの給仕ロボット夏隣    千葉 静江

(清記順)
※次回(5月28日)の兼題は「葉」の詠み込み
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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