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艸句会報:若草(令和5年6月10日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「青田」 席題「新茶」

印象句
先生のいがぐりあたま青田風     松本ゆうき
引く波にくすぐられたる跣足かな   安住 正子

【一口鑑賞】ゆうきさんの句。「青田風」の吹く学校の校庭に立つ教師の姿が目に浮かぶ。小学校か中学校か、あるいは高校の頃か…。かつてはどこの学校にも一見怖そうだが、心根の優しい先生がいて生徒にも慕われていた。「いがぐりあたま」が読み手の想像を掻き立てる。作者はこの先生に親しみを抱いていたのだろう。正子さんの句。「跣足」が夏の季語。砂浜に打ち寄せた波が引いていく様子を足の裏の感覚で捉えている。中七の措辞が巧み。(潔)

思ひ出す妻の指南や新茶汲む     岡戸 林風
実梅生る軒すれすれを青梅線     片岡このみ
梅雨入しておやつの英字ビスケット  沢渡  梢
天瓜粉眉間の皺の深さかな      新井 紀夫
梅雨晴間下校チャイムの間延びして  飯田 誠子
百選の水を沸かして新茶かな     安住 正子
丸めがね似合ふ教え子五月晴     吉崎 陽子
書き足して被爆者名簿曝さるる    市原 久義
青田風スープのからむちぢれ麺    山本  潔
夏薊牧に余生の競走馬        新井 洋子

(清記順)
※次回(7月8日)の兼題は「味」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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