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艸句会報:東陽(令和5年6月24日)

東陽句会(江東区産業会館)
兼題 折句「なわと」例句 夏羽織われをはなれて飛ばんとす 正岡子規

印象句
蝸牛知らぬ言葉に知らん顔      中川 照子
九十の夏やピンクのスニーカー    堤 やすこ

【一口鑑賞】照子さんの句。インターネットの社会になり、日々新しい言葉が生まれている。SNSやテレビを見ていても「何のこと?」と首を傾げる場面が増えた。そんな「知らぬ言葉」の洪水に恐れを抱く作者。「知らん顔」をしているのが一番と開き直った自分を「蝸牛」になぞらえているのだろう。やすこさんの句。「九十の夏」を迎えてなお若々しく矍鑠(かくしゃく)としている作者。「ピンクのスニーカー」をぶつける感覚が素晴らしい。何事にも前向きな気持ちがあればこその一句。見習いたい。(潔)

名をなせる我らが主宰闘魚たり    安住 正子
亡き人の若書きの詩や遠花火     山本  潔
夏来たる若馬駈ける都井岬      斎田 文子
何となく脇道を行く土用の日     岡戸 林風
鳳梨積む店の一隅異国の香      新井 洋子
目袋の垂るゝ吾が顔夏の風邪     新井 紀夫
鉄鍋に炊きたての香や鮎の飯     向田 紀子
生卵若布味噌汁土用入        堤 やすこ
潮入の逆巻く池や夏椿        中島 節子
夏至の日の老人ひとりマチス展    松本ゆうき
襟足の白さ眩しく夏祭り       飯田 誠子
なまくらの吾を諾ひ心太       岡崎由美子

(清記順)
※次回(7月22日)の兼題は折句「かよひ」
 例句 烏瓜よごとの花に灯をかざし 星野立子
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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