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艸句会報:船橋(令和5年7月1日)

船橋句会(船橋市中央公民館)
兼題「半」

印象句
山原の杣の川瀬や下がり花      並木 幸子
聞こえるよおばあの願ひ慰霊の日   飯塚 とよ

【一口鑑賞】幸子さんの句。山原(やんばる)は沖縄本島北部一帯の呼び名。山々が連なり、常緑広葉樹林が広がる地域であり、ヤンバルクイナの生息地としても知られる。きこりの伐り出した樹木の流れる川を「杣の川瀬」と言い止めたところが巧み。「下がり花」は夏の夜にピンクまたは白の房状の花を付ける。いわゆる地貌季語の一つとみていいだろう。とよさんの句。「慰霊の日」と言えば6月23日。「おばあの願ひ」に沖縄の戦没者を悼む気持ちが込められている。(潔)

父の忌の庭を離れぬ黒揚羽      岡崎由美子
洋館の絵画のやうな青葡萄      三宅のり子
風鈴の音にひたりたる小半時     岡戸 林風
小半時眠る木椅子や緑さす      山本  潔
駝鳥駆くる園の暑さを蹴散らして   新井 洋子
半玉の揺るるかんざし青葡萄     沢渡  梢
修道女のごとく咲きたる海芋かな   飯塚 とよ
池の藻に緋鯉ぱくつく辺りかな    小杉 邦男
泰山木咲く禅寺の半跏趺坐      新井 紀夫
白南風や靴にペンキの付くデッキ   並木 幸子
「白が良いね」と呟く君や菖蒲園   川原 美春

(清記順)
※次回(8月5日)の兼題は「深」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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