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艸句会報:若草(令和5年7月8日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「味」 席題「白」

印象句
山上や雲海の帯解かれゆく      石田 政江
八方尾根ケルンは白き雲の中     片岡このみ

【一口鑑賞】政江さんの句。「雲海」は夏に限らず見られるが、登山との関連で晩夏の季語として定着した。放射冷却による自然現象だが、神秘性があり、近年は“雲海ツアー”が人気になっている。山の上で雲海をじっと眺めている作者。分厚い雲が少しずつ晴れていく様子を「帯解かれゆく」と感じたままに書き取った。このみさんも登山関連の季語「ケルン」を巧みに詠んだ。山頂や登山道の道標となるように石を円錐状に積み上げたもの。雲の中にあっても、ケルンの存在がしっかり感じられる一句。(潔)

片蔭の果てたるあとの道遠し     安住 正子
夏草や鉱山跡にねこぐるま      霜田美智子
ラベンダーの風の押しゆく乳母車   飯田 誠子
白南風や三度の味をひつまぶし    新井 紀夫
茗荷の子一つで足りる薬味かな    片岡このみ
心地良き封書の文字や風涼し     石田 政江
ここいらは紫陽花の青勝りけり    市原 久義
幽霊も毒味してゐるカレーかな    山本  潔
白シャツや紙石鹸の香のほのか    沢渡  梢
齢得てよりの倖せソーダ水      岡戸 林風
老夫婦揃ひの白きスニーカー     新井 洋子

(清記順)
※次回(9月9日)の兼題は「夢」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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