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艸句会報:船橋(令和5年9月2日)

船橋句会(船橋市中央公民館)
兼題「残」

印象句
照り返す二百十日のアスファルト   沢渡  梢
野の花を飾るひと日の後の雛     並木 幸子

【一口鑑賞】梢さんの句。「二百十日」は立春の日から数えて210日目。大風が起こりやすく、農家は生育中の稲への影響を恐れて厄日とした。今年は句会前日で、折しも沖縄や本州にはそれぞれ台風が接近中。記録的な暑さも続くなか、「アスファルト」に着目して日差しの強さを活写しており、実感がある。幸子さんの句。3月3日の雛の節句に対し、重陽の節句(旧暦9月9日)に再び雛人形を飾ることを「後の雛」と言う。今日では見かけない風習だが、この句は「野の花」を添えて飾る雛人形に哀感を覚える。(潔)

落蟬の残る命を草の上        岡戸 林風
暮れ残る商店街の新豆腐       沢渡  梢
震災忌献花の白きチマチョゴリ    新井 紀夫
残照の海や棚田の稲穂波       新井 洋子
波音の残る小道や星の恋       並木 幸子
まづ一つ鳴いて鈴虫大合唱      有賀 昭子
雁渡し故郷に残る墓一基       山本  潔
「北斗星」の残像月の上野駅     岡崎由美子
滝口に水あふれゐて秋の色      小杉 邦男
ずつしりと重き小包秋暑し      川原 美春
こほろぎの鳴く声夜ごと高まりぬ   平野 廸彦
満月や世界の民よ丸くなれ      飯塚 とよ

※次回(10月7日)の兼題「有」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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