艸句会報:若草(令和5年9月9日)
若草句会(俳句文学館)
兼題「夢」 席題「日」
印象句
一つづつ消えて最後の法師蟬 市原 久義
この村は老人ばかり曼珠沙華 片岡このみ
【一口鑑賞】久義さんの句。蟬は春蟬から鳴き始めて夏のにいにい蟬、油蟬、みんみん蟬と続き、秋になると蜩、法師蟬へと移る。蟬の仲間で一番遅く出現するのが法師蟬であり、そのユニークな鳴き声によって我々は秋の進展を知ることになる。この句は「最後の法師蟬」との把握が的を射ている。このみさんの句。超高齢社会へ突入した日本の現実をすばりと詠んだ。金子兜太の<曼珠沙華どれも腹出し秩父の子>は昭和17年の作。もはや、こんな子どもの姿は見られない。俳句は時代の移り変わりを映しているから面白い。(潔)
老いよりも夢を語ろう敬老日 松本ゆうき
敬老日長寿の猫のグルメ缶 霜田美智子
俳諧を心の杖に敬老日 岡戸 林風
揺れ戻す風の白さや初尾花 安住 正子
秋天へ客を降ろして昇降機 新井 洋子
三毛猫の通ひ路寺の萩の庭 飯田 誠子
小鳥来る夢二の墓のつづまやか 沢渡 梢
荒畑の猫と目の合ふ白露かな 山本 潔
秋めくや月とる一茶夢の中 新井 紀夫
大樽に葡萄酒醸す厨かな 石田 政江
切れ切れの夢路を手繰る夜長かな 市原 久義
不揃ひもありて月見の団子かな 片岡このみ
(清記順)
※次回(10月14日)の兼題はテーマ「読書」
兼題「夢」 席題「日」
印象句
一つづつ消えて最後の法師蟬 市原 久義
この村は老人ばかり曼珠沙華 片岡このみ
【一口鑑賞】久義さんの句。蟬は春蟬から鳴き始めて夏のにいにい蟬、油蟬、みんみん蟬と続き、秋になると蜩、法師蟬へと移る。蟬の仲間で一番遅く出現するのが法師蟬であり、そのユニークな鳴き声によって我々は秋の進展を知ることになる。この句は「最後の法師蟬」との把握が的を射ている。このみさんの句。超高齢社会へ突入した日本の現実をすばりと詠んだ。金子兜太の<曼珠沙華どれも腹出し秩父の子>は昭和17年の作。もはや、こんな子どもの姿は見られない。俳句は時代の移り変わりを映しているから面白い。(潔)
老いよりも夢を語ろう敬老日 松本ゆうき
敬老日長寿の猫のグルメ缶 霜田美智子
俳諧を心の杖に敬老日 岡戸 林風
揺れ戻す風の白さや初尾花 安住 正子
秋天へ客を降ろして昇降機 新井 洋子
三毛猫の通ひ路寺の萩の庭 飯田 誠子
小鳥来る夢二の墓のつづまやか 沢渡 梢
荒畑の猫と目の合ふ白露かな 山本 潔
秋めくや月とる一茶夢の中 新井 紀夫
大樽に葡萄酒醸す厨かな 石田 政江
切れ切れの夢路を手繰る夜長かな 市原 久義
不揃ひもありて月見の団子かな 片岡このみ
(清記順)
※次回(10月14日)の兼題はテーマ「読書」
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