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艸句会報:かつしか(令和5年9月24日)

かつしか句会(亀有地区センター)
兼題「月」一切

印象句
吾が影は八頭身や月今宵       近藤 文子
誕生日祝の帰路の星月夜       三尾 宣子


【一口鑑賞】文子さんの句。「月今宵」は「名月」の副季語。陰暦8月15日の満月が名月で、陽暦では9月20日過ぎ前後になることが多い。2021年から今年までは3年連続で9月29日に中秋の名月と満月が重なった。この句は、名月を愛でている自身の影を女性の最も美しいスタイルとされる「八頭身」と捉えたところにおかしみがある。宣子さんの句。「星月夜」は秋の空がよく澄み渡り、月が出ていなくても星の輝きで明るい夜を言う。お孫さんの誕生日を祝った帰り道だろうか。清々しい気持ちが「星月夜」に表れている。(潔)

先を行く夫の頭上の月の弓      高橋美智子
正門を入れば校塔蔦紅葉       新井 紀夫
箸・茶碗ペアに夫婦の良夜かな    笛木千恵子
新聞の文字のざわめく野分かな    新井 洋子
心して「源氏」に挑む秋燈下     五十嵐愛子
生き甲斐は人にそれぞれ昼の月    山本  潔
居待月そろそろ煮しめ煮上がりぬ   片岡このみ
星飛ぶや「雪山讃歌」生みし宿    佐治 彰子
今年米幾度も届き米長者       伊藤 けい
ご無沙汰を詫びて合はす手墓詣    三尾 宣子
秋風やひとりで渡る青信号      近藤 文子
映画跳ね胸にも丸いお月様      西村 文華
柚子坊の食欲柚子の木を枯らす    霜田美智子
満月や語り尽くせぬ夜となり     西川 芳子

(清記順)
※次回(10月22日)の兼題は「文化の日」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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