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艸句会報:若草(令和5年10月14日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「読書」 席題「子」

印象句
そのことに触れず二人の夜長かな   安住 正子
望の月亡夫と出逢つた純喫茶     吉﨑 陽子

【一口鑑賞】正子さんの句。「そのこと」とは何なのか?「二人」は夫婦なのか親子なのか、あるいは恋人同士なのかも明かされてはいない。それでも読者は自分自身の経験を重ねてさまざまな想像をめぐらす。ふとした寂しさや物思いのなか、秋の「夜長」のなかにいる二人の息遣いや表情が映像となって浮かび上がる。陽子さんの句。名月を眺めながら、亡くなられたご主人との思い出が尽きない作者。出会いの場所は「純喫茶」。「純」の一文字が付いただけで響きが違う。昔を懐かしむ気持ちが伝わってくる。(潔)

旧仮名の父の蔵書や十三夜      沢渡  梢
下校子の声のちらばる猫じやらし   安住 正子
秋の夜の子の気に入りの一ページ   新井 洋子
行く秋や針谷栄子の遺句を読み    石田 政江
秋灯下紙の辞書よりスマホかな    松本ゆうき
風変はる那須の山の背草紅葉     霜田美智子
たのもしき孫の子育て聞く良夜    吉﨑 陽子
痩せ秋刀魚大根おろしたつぷりと   市原 久義
積ん読の山の崩るゝ暮の秋      山本  潔
秋深しルーツをたどる旅を子と    新井 紀夫
全集の一書机上に夜長の灯      岡戸 林風
たはむれに踏めば水吐く虚栗     飯田 誠子
子を膝にのせて見る月まん丸し    片岡このみ

(清記順)
※次回(11月11日)の兼題は「手」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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