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艸句会報:連雀(令和5年11月1日)

連雀句会(三鷹駅前コミュニティセンター)
兼題「冬桜」

印象句
さようならすすきに消ゆる無人駅   矢野くにこ
古里村は母の故郷冬桜        坪井 信子

【一口鑑賞】くにこさんの句。この秋、故郷の九州・阿蘇へ帰った際に詠んだそうだ。無人駅とその周りに群生する「すすき」を見ているうちに、駅が芒に包まれ消えてゆく映像が浮かび上がったという。その時に口を突いて出てきた言葉を一句にした。90歳を過ぎてなお元気な作者。伸びやかに俳句づくりを楽しんでおられる。信子さんの句。古里(こり)村はかつて東京西部の西多摩郡にあり、1955年に1町2村の合併で奥多摩町となった。「冬桜」を見るたびにお母様の実家を思い出すそうだ。心の中にある風景なのだろう。(潔)

踏切の狗尾草は切られたり      松本ゆうき
行く秋や誰とも会はず渚まで     中島 節子
暮れてなほ暮れぬ谷音寒桜      坪井 信子
晩秋のポップコーンの匂ふ闇     山本  潔
無為の我娘には勤労感謝の日     春川 園子
喧騒をよそに離宮の冬桜       飯田 誠子
庭隅の日の逃げやすく石蕗の花    束田 央枝
上州の風を宥めて冬桜        向田 紀子
舞ふことを知らぬいとしさ寒桜    横山 靖子
落武者を偲ぶに余る破蓮       矢野くにこ

(清記順)
※次回(12月6日)はテーマ「使わなくなった物」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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