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艸句会報:若草(令和5年11月11日)

若草句会(俳句文学館)
兼題「手」 席題「巣」

印象句
起き抜けの身ぶるひ一つ冬来る    片岡このみ
女手の打つ釘曲る暮の秋       安住 正子

【一口鑑賞】東京では今月7日に気温が27.5度に達し、11月としての最高気温の記録を100年ぶりに更新した。翌8日の立冬を過ぎると、さすがに季節が進み始めた。このみさんの句は、冬の到来をいち早く「身ぶるい一つ」で感じ取った。措辞に無駄がなく、季語が自然に読み手のなかにも入ってくる。正子さんの句。家事をこまめにこなしている作者だが、難しい場所に打った釘が曲がってしまったのだろうか。日常のなかの些細な出来事を、兼題「手」で巧みに詠み込んだ。「暮の秋」にそこはかとない寂しさが漂う。(潔)

いつしかに手櫛がくせに冬に入る   岡戸 林風
亥の子突く村の子どもに古巣あり   松本ゆうき
渋柿の干さるる軒の夕日影      石田 政江
手のとどく程の幸せ冬菫       沢渡  梢
年の瀬の巣鴨とげぬき地蔵かな    片岡このみ
魂眠る遥か御巣鷹山眠る       霜田美智子
晩鐘の余韻の届く仏手柑       新井 洋子
さはやかや齢はげます薩摩琵琶    吉﨑 陽子
小春日や手遊びの子の手と手と手   新井 紀夫
花八ツ手見栄も気負ひもなく生きて  安住 正子
山の色薄れ越後の冬支度       飯田 誠子
迎へバス待つ鈴生りの柿の下     市原 久義
宴席に野菊を飾るやさしき手     山本  潔

(清記順)
※次回(12月9日)の兼題は「石」
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艸俳句会

Author:艸俳句会
艸俳句会のWeb版句会報。『艸』(季刊誌)は2020年1月創刊。
「艸」は「草」の本字で、草冠の原形です。二本の草が並んで生えている様を示しており、草本植物の総称でもあります。俳句を愛する人には親しみやすい響きを持った言葉です。

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