『花暦』ダイジェスト/平成28年4月号
「暦日抄」 舘岡沙緻
遠嶺の白のうすらぐ春の幸
学ばむと暖炉を納め来たりしに
いくとせを友とし学ぶ春暖炉
八十路われこれよりの日の春日かな
ひさに会ふ双手包みに春ぬくし
春ひと日病む身忘れし白き卓
「花暦」休刊
初花や堀よりの風八十路髪
俳誌『花暦』は今月号で休刊となる。通巻第219号。「暦日抄」もそれと同じ回数を重ねてきた。主宰は第一句集『柚』(昭和54年)の復刻版を平成23年に「俳句四季文庫」に加える形で上梓した。そのあとがきで「『俳句は日記』という亡き岸風三樓師の教えどおり、現在も自分自身のこと、日常を、折りに触れて詠っています。師は『俳句は履歴書』とも申しました」と書いた。その姿勢は『花暦』の休刊を迎えた今も変わらない。
<遠嶺の白のうすらぐ春の幸>。18周年記念大会を間近に控えた日の心境だろうか。遠くの山々の雪が解けてきた様子を書き留めながら、春を感じている。まるで自分自身が春そのものであるかのように。<ひさに会ふ双手包みに春ぬくし>は大会の日。久々に会った弟子たちとの触れ合い。差し出した手が相手の両手に包まれたときの温もりに春を感じている。<春ひと日病む身忘れし白き卓>は祝宴のテーブル。癌を抱えていることを忘れて楽しむひととき。
<初花や堀よりの風八十路髪>は休刊を迎えた『花暦』への挨拶句。毎年、大会が行われてきたアルカディア市ヶ谷は外濠沿いの桜並木に面している。春が来るたびに、ここで気持ちを新たにして俳句に取り組んできた。『花暦』は主宰自身である、といっても過言ではない。そんな自分に吹く堀からの風はどう感じられたのか。「暦日抄」は今後もこのブログを通じて発表していただきたいと願っている。(潔)
遠嶺の白のうすらぐ春の幸
学ばむと暖炉を納め来たりしに
いくとせを友とし学ぶ春暖炉
八十路われこれよりの日の春日かな
ひさに会ふ双手包みに春ぬくし
春ひと日病む身忘れし白き卓
「花暦」休刊
初花や堀よりの風八十路髪
俳誌『花暦』は今月号で休刊となる。通巻第219号。「暦日抄」もそれと同じ回数を重ねてきた。主宰は第一句集『柚』(昭和54年)の復刻版を平成23年に「俳句四季文庫」に加える形で上梓した。そのあとがきで「『俳句は日記』という亡き岸風三樓師の教えどおり、現在も自分自身のこと、日常を、折りに触れて詠っています。師は『俳句は履歴書』とも申しました」と書いた。その姿勢は『花暦』の休刊を迎えた今も変わらない。
<遠嶺の白のうすらぐ春の幸>。18周年記念大会を間近に控えた日の心境だろうか。遠くの山々の雪が解けてきた様子を書き留めながら、春を感じている。まるで自分自身が春そのものであるかのように。<ひさに会ふ双手包みに春ぬくし>は大会の日。久々に会った弟子たちとの触れ合い。差し出した手が相手の両手に包まれたときの温もりに春を感じている。<春ひと日病む身忘れし白き卓>は祝宴のテーブル。癌を抱えていることを忘れて楽しむひととき。
<初花や堀よりの風八十路髪>は休刊を迎えた『花暦』への挨拶句。毎年、大会が行われてきたアルカディア市ヶ谷は外濠沿いの桜並木に面している。春が来るたびに、ここで気持ちを新たにして俳句に取り組んできた。『花暦』は主宰自身である、といっても過言ではない。そんな自分に吹く堀からの風はどう感じられたのか。「暦日抄」は今後もこのブログを通じて発表していただきたいと願っている。(潔)
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